About me
学生時代にガラス工芸を学び、ガラス作家として活動していました。個展を開いたり、海外の展覧会に出品したり充実していましたが、頑張り過ぎたのか燃え尽き症候群のようになってしまいました。ボタニカルアートとの出会いがあったのは、その少し辛かった時期のことです。英国へと渡り、ロンドンで通っていた英会話教室の廊下に「ボタニカルアート教室」の貼り紙をたまたま目にしたのがきっかけです。
日本ではガラスの花器をつくるためにお花を習ったり、茶器をつくるためにお茶を習ったりしていたので、ロンドンでもお花を続けようと思い、いろいろな展覧会を見ていたのですが講師が見つからず困っていました。そんな中、貼り紙を見て、「お花の絵か!生けなくても絵を描くのもいいかな」と気軽に始めました。KEW(英王立植物園)公式植物画家でもある山中麻須美先生に師事し、描いているうちに夢中になりました。ロンドンの暗くて寒い時期には家の中での唯一の楽しみになりました。
ボタニカルアートはただの水彩画とは異なり、背景は描きません。植物そのものを正確に観察し模写するというルールがあります。だからこそ私は絵の構図にとてもこだわって描いています。同じ植物を描いても十人十色ですが、ルールの中でその植物をどれだけ印象的に、魅力的に見せることができるのかは作家のオリジナリティが問われるところです。
描く時はその植物の背景も掘り下げて調べます。歴史と植物の関係がとても興味深く面白いことが分かって楽しくなります。
宮澤香代子